「あすこがうめぇ蕎麦食わせてくれんだよ」っつって

グルメになりたい。というのは何かというとすなわちいろんな店を知りたいっつうことで、たとえば職場がある恵比寿ではシャレオツなリストランテだったりバルだったりなんとかダイニングだったり割烹だったりがわんさかあるわけで、よくよく恵比寿でどこかおいしい店教えてケロなどととんまな顔した問い合わせを受けてしまう。普段ペヤング/ラーメン/さくら水産の500円ランチを主食としてる私にそんな素敵な店を知るよしもないのであるけれどもやはり人様の期待にはお応えしたい。「あすこがうめぇ蕎麦食わせてくれんだよ」っつって、「あのバルのキッシュが最高だぜ、おっといけない、でも早くなくなっちゃうから7時ぐらいまでには行かないといけないよ」っつって、「あの店は最高のサービスさ。最高の空間を演出してくれるっつってんだろがこのやろー」っつっちゃったりして。

しかしここで問題なのは舌であり、うまいものをうまいと感ずる舌、それを表現する技法が必須となる。そうでなければ誰かにお店を尋ねられた際に毎回毎回「※この発言は個人のものであり、所属する団体や組織を代表するものではありません」とおまえ誰だよみたいなtwitterアカウントのプロフィールに書いている戯言を注釈しないといけなくなる。おれがうまいと思うものは果たして本当にうまいのか、普段ラーメンばっかり食べてるから舌がラーメンになっているのではなかろうかという懸念がある。チロルチョコきなこもちがうまいかと問われたらうまいと答えるぐらいの舌。ビッグカツがうまいかと問われたらうまいものではない、と答える。グルメになりたい。

うまいコーヒー。コーヒーも同じく店により酸味や苦味、コク、フルーティーな爽やかさなどは異なる。あ、うめぇなぁみたいなコーヒーを飲みたく彷徨い歩き出てきたところは新宿ビーナスカフェ。ほんとは隣のアリヤに行ってみたかったけど激並んでたから、っつうのは内緒。また次回。一面はガラス張り、一面は木の板を打ち付けたような空間は暖色のオレンジ照明で彩られておりおっぱいが大きいお客さんがいて素敵さ。さてコーヒーを飲んでみるとコーヒーはコーヒーであり特に何もなく表現しようがない。おれの表現力が乏しいのかコーヒーの味が乏しいのか難しい。ほんとはソムリエールよろしく「一口のんだ瞬間に広がるユーロの田舎、白鳥が休息する湖のほとりにあるログハウスでゆったりした時間をあなたと過ごすような芳醇な香り、このまま時が止まればよいのに、って思っちゃう夜、経済危機に瀕するギリシャを思わせるようなキレがあるコーヒーでございますな」みたいなコメントを残せればよいのに全然ダメ。コーヒーはコーヒー、舌を肥やさねばとおれ、ブレンドコーヒー(400円)を飲む。

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